あるお母さんの、その後

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昨日のA子さんには、
その後の続きがあります。

A子さんは、
「変わろう!」
と思って、
学んだ通りに、
笑顔で過ごし、
子どもの話を笑顔で聴き、
穏やかに過ごし始めては、
途中で耐えられなくなり、
心が折れる。

それを何度も
繰り返しながら、
たくさんのことを
考えるようになりました。

なぜ、
笑顔で過ごさないと
いけないんだろう?

なぜ子どもの
面白くない話を
聴かなきゃいけないんだろう?

なぜ子どもの行動を、
そのまま受け止めなきゃ
いけないんだろう?

どれもこれも、
子どもが私の言うことを
聞いてくれないから
できないのに。

そんなとき、
A子さんは、
お友達のB子さんから
アドバイスをもらいました。

「子どもに言うことを
聞かせようとしないほうがいいよ。
子どもには、子どもなりの
考え方があるの。
親の枠にはめて、
子どもをコントロールしようとすると、
子育てはどんどんしんどくなっていくの。

自分も子どもの頃、
親の言うことに、
反発心を感じてなかった?」

そこでA子さんは、
自分の子ども時代を
思い出してみました。

そういえば、
自分が後で宿題しようと
思っているのに、
まだしないのか。
ってうるさく言われて、
本当にうっとおしかった。

もっと自分を信じて
任せてほしかった。
私だって、ちゃんとできたのに。

そこからA子さんは、
次々と
自分の子ども時代のことを
思い出していきます。

親に逆らうのが
怖かったから、
反抗はしなかったけれど、
親の言う通りに動くのって、
すごく嫌だったな。

ちゃんとやろうとしてたのに、
「おまえはいつも、
テレビを見てばっかり。」
って決めつけて、
できない子のレッテルを
貼られてたっけ。

そんな風に言われるから、
自分でも、
自分はいつもやる気がなくて、
勉強しない人なんだって、
思ってしまってた。

あの時親が、
もっと信じて自分のことを
見てくれていたら、
もうちょっと
やる気が出て、
自分から進んで勉強をする気に
なったかもしれないな。

そういえば、
担任の先生は、
いつも私のことを
励ましてくれていた。

「〇〇さんは、
頑張り屋さんだから、
やればできるよ。」
って言われて嬉しくて。

先生はいつも優しくて、
ニコニコしてて、
先生のいる教室は
いつも雰囲気がよくて、
居心地がよかった。

先生の前では
いつも張り切って
頑張ってたなぁ。

テストを返してもらうとき、
先生はいつも、
「今回は頑張ったね。
できないところも
あったけれど、
あなたはあなたなりに、
一生懸命頑張っているの、
先生はわかっているよ。」
そう言ってもらえて
すごくうれしかった。
また次のテストも、
頑張ろう。
って思えた。

なのに、
お母さんはいつも、
どれだけテストで頑張っても、
できないところばかり見つけては、
怒ってくる。

「ちゃんと勉強しないから、
こんな点数になったのよ。
もっと勉強しなさい。

近所の〇〇ちゃんは、
もっといい点取ってるよ。
お母さん、〇〇ちゃんの
お母さんだったらよかった。」

そんなこと、言わないで。
私だって、頑張ってるのに。

お母さんはいつも、
仕事で忙しくて、
バタバタしていて不機嫌で、
だからいつも私たち子どもは、
顔色をうかがっていたな。

お母さんの機嫌が悪いと、
家じゅうの雰囲気が
ピリピリしてたんだった。

あぁもう、
嫌なことばかり
思い出してしまったわ。

でも、
こうやって振り返ってみると、
私って、
あのころの、
嫌だったお母さんと
一緒だわ。

子どもが勉強しないと決めつけて、
信じて任せておけず、
いつも疑っていて、
子どものできないところばかり
見ては怒っている。

よそのお母さんを見て、
うらやましくて、
私もあの子のお母さんになりたい。
って思ってた。

自分がしんどいから
笑顔なんてできないわ。
子どもたちが言うことをきかないから、
笑顔なんてできないわ。
ってずっと思ってた。

私は、
子どもの頃の私が
お母さんにされて嫌だったことばかり
している。。。。。

そうか、
だから子どもたちも、
私が嫌になることばかりして返してるんだ。

私がお母さんを好きじゃなかったように、
子どもたちも私のことを
好きじゃないって感じてるから、
毎日家で楽しくなさそうで、
反発ばかりしてたんだ。

私、頑張ってるつもりだったけど、
自分が楽になるために、
頑張ってたけど、
本当は違ったんだな。

笑顔でいること、
話を聴いてあげること、
子どものことを
そのままで受け止めること。

それは、
自分のためじゃなくて、
子どものためだったんだ。

あのころの私と同じような想いを
子どもにさせないために、
この子のために
することだったんだ。

子どもが反発しているのは、
私がそれをできていない。
って
知らせてくれてたのかも。

言うことを聞かないのは、
自分にも意思がある。
ってことを
認めてほしいということなのかも
しれないな。

担任の先生のそばにいると、
自分が何でもできて、
やる気がどんどん出てきたように、
私もあのときの先生のように
子どもたちと向き合ってみよう。

私がさせたいことを
させるのではなく、
子どもたちが
自分からやる気を出していけるように。

あのころの私が、
嬉しくなるようなお母さんに、
なってみよう。

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